米ブラウン大学神経科学分野での調査が、気功が、がんサバイバーの疲労感軽減に対して、運動や栄養プログラムと同等の効果を持つことを示し、一部の研究者たちの注目を集めている。これは、かつて自身ががん患者だったCatherine Kerr氏が開始し、その後Stephanie Jones氏らが引き継いだ一連の研究である。
試験結果は、「Integrative Cancer Therapies」に掲載され、気功が特に倦怠感を感じる患者にとって有用な方法であることが明らかとなった。運動が倦怠感の軽減に役立つという既知の事実と対比させると、気功のゆっくりとした動きや深呼吸は、そのハードルを下げ、実際的な改善をもたらす可能性を示唆している。
同研究所のChloe Zimmerman氏によれば、「がん治療後の患者がどうやって元気になるのか、それは穏やかな心身の鍛錬で可能なのか」というのがこの研究の重要な問いであるという。これはヨガやマインドフルネス、太極拳といった心身の鍛錬が、身体と心、脳の健康を支えるために注目を浴びている時代の流れとも重なっている。
気功の具体的な働きについてはまだ完全には解明されていないが、ゆっくりとした体の動きや呼吸法、瞑想の組み合わせが心と体のつながりを養い、患者の心身の健康に寄与するとの仮説が提唱されている。これが確証されれば、病床で行える気功は、がん患者にとって、自分の体調に合わせて実践できる、新たなケアの一つとなるであろう。 (medical-tribune)