なぜなんだろうか。車の中から曇り空を見ていると海を思い出す。通勤路の向こうには海なんかないのに。
外浦は入江で波が静かなので、ボーと浮かんでいると
学生の頃、毎年、一ヶ月以上、伊豆の海にいた。山も近いせいか、朝起きると、なんとなく曇天の日が多かった気がする。
こんな曇りの日に海に行っていいのかと思って出かけると、河津浜あたりはどんよりしているが、135号線の下田を見下ろすビューポイントあたりになると段々と雲は切れる。
曇りの日はなんとなく、遠浅の外浦でいいかなという感じ。雨が降ったら、サザエ丼でも食べて帰るかという気持ち。
ボンボンベッドを浮かべていると。陽が差してくる。
やっぱり晴れた。セミの声がきこえる。山は近い。
外浦海水浴場 |
「あやしうこそものぐるほしけれ」
日がなボーとして、15時ころ、家に帰ってもボーとしていると、ひぐらしが鳴きはじめる。
日は長いのだけれど、日焼け疲れと物憂さも手伝って、ソファーでうたた寝をする。いいんだよなぁ、これが。
気がつくと陽が落ち始めている。暗いリビングは涼しく、壁にある仮面劇の面がこちらを見ていいる気がする。
アジアンテイストな木製の巨大なフォークとスプーンは、なんなんだろうか?みやげものとしても、なんでそこにある?
台所から脱水槽のシャァ~と、トントンと刻む音が聞こえてくる。今晩はなんだろうか。