専門家のありかた
四塩化ケイ素を使った特殊な反応についての取り調べの場面。科学捜査員は以前、クシティガルバ棟の冷蔵庫で四塩化ケイ素を確認していたことから、合成実験が行われた確信を持っていた。土谷は、自分が考案した合成法をなぜ知っているのか不思議に思っている様子で、反応式を確認するうちに動揺が表れる。その後、大峯係長が入室し、科学捜査員は緊張からか尿が出ない状態でトイレに向かう。この間、二人きりで5時間以上話し込み、反応式を書いていた。(文春オンライン)
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供述のきっかけ
サリンを作った土谷と科学捜査員との六時間に渡る対話。会話ではない。科学捜査員は、無言で延々とサリンの製造行程を紙に記し、土谷は黙って見ていた。この四塩化ケイ素を使うサリン生成式が出てくるまでは…この後に土谷は自供をする。文献にない、新しい化学合成の方法を土谷は発見し、実行した。大学院や社会ではその才能を活かせずに、オウムの潤沢な資金で化学者としてやりたいことをやった。
原爆の父、オッペンハイマーがやりたかったどうか知らないが、土谷が重なる。
善悪無記
科学捜査員は、土谷の有能さを理解できると土谷に示した。科学捜査員は、化学には善も悪もない、どう使うか、使い方次第だと言っていた。もっと早く土谷の才能に気づき方向性を示す者が出ていたらと思うと残念だ。
サリン事件で亡くなった方々のご冥福をお祈りいたします。