スロースターター
諸事情あって、30歳を少し超えてから、それなりの収入を得るようになり、不満の少ない生活をしていた。
週末になると車やバイクで箱根詣、うだつが上がらない穀潰しで、趣味の人だった。
指紋にオイルの黒い跡が入るのは、ちょっと憚れたが、バイクや車のメンテをしていた。
週末になると車やバイクで箱根詣、うだつが上がらない穀潰しで、趣味の人だった。
指紋にオイルの黒い跡が入るのは、ちょっと憚れたが、バイクや車のメンテをしていた。
モラトリアム
そんな一見呑気そうに見える人生でしたが、心には寂寥感があった。
オーバーサイズのピストンリングを入れて首都高環状線の飯倉付近でエンジンがロックしてしまったバイクを汗だくになりながら背広姿が行き交う、大手町の官庁街を押しながら見上げた空に、このまま、なんとなく消費していく人生を過ごすのか…とふと思った。
行く道を見失ったのか。
そうではないと感じていた。
求めている道の歩み方がさっぱり分からなかった。
無気力のようであっても、なにか自分の人生に違和感を感じていた。
燃えるような憶いを、冷めたような気持ちのまま、ぼんやりとやり過ごすのか。
当時よくいわれていた「モラトリアム人間」だったのかもしれない。
小此木啓吾さんのシリーズ本はほとんど読んだ。
アイデンティティが確立できない。したくない。
甘えて無責任に、ニコニコと性格の鎧(character armor)で固めていたのだ。
オーバーサイズのピストンリングを入れて首都高環状線の飯倉付近でエンジンがロックしてしまったバイクを汗だくになりながら背広姿が行き交う、大手町の官庁街を押しながら見上げた空に、このまま、なんとなく消費していく人生を過ごすのか…とふと思った。
行く道を見失ったのか。
そうではないと感じていた。
求めている道の歩み方がさっぱり分からなかった。
無気力のようであっても、なにか自分の人生に違和感を感じていた。
燃えるような憶いを、冷めたような気持ちのまま、ぼんやりとやり過ごすのか。
当時よくいわれていた「モラトリアム人間」だったのかもしれない。
小此木啓吾さんのシリーズ本はほとんど読んだ。
アイデンティティが確立できない。したくない。
甘えて無責任に、ニコニコと性格の鎧(character armor)で固めていたのだ。
アマチュア
友達には「あなたにはプロ意識がないのよ、アマチュアなのよ、結局のところ」おお、痛いところを突かれてしまった。
シャーリー・マクレーンを勧めてくるあんたには言われたくない。
けれど、この熱量がある友人に導かれることになった。